海を飛ぶ夢

原題:THE SEA INSIDE
スペイン/2004年 125分 (ヒューマンドラマ)+URL+ http://umi.eigafan.com/


監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル/マテオ・ヒル
CAST:ハビエル・バルデム/ベレン・ルエダ/ロラ・ドゥエニャス/クララ・セグラ etc...


Story:
ラモン・サンペドロは25歳の時、岩場から海へダイブした。しかし、運悪く引き潮の時に飛び込んだため底に首を痛打し首から下が麻痺してしまう。そしてそれ以降、家族に支えてもらいながら生きる人生になってしまう。事故から26年、彼はひとつの決断を出す。それは自らの命に終止符を打つこと。尊厳死が合法ではなかったため協力者として集まった弁護士のフリアなどが彼の尊厳死を認めてもらうため裁判を起こした。


言いたい事が言葉に出ない、自分では出せない。それほどはっきり言って心に重い。
感情面ばかりが表立っていて上映が終わってちょっとの間立てなかった*1
ラモンの今までの辛さ、フリアの助けたいという気持ち、ロサの死を止めさせたい思い、そして兄の猛反対・・・たくさんの感情が詰まっていて見ていて辛い。

劇中では彼への世話は食事、着替えや体を拭くこと、それと状態を変えるくらいだったけど、他にも数え切れないこともあるわけだし、家族の助けがそれ以上に必要だったわけだろうしそういうことも考えると思考回路がストップするほど何も考える事が出来なくなった。落ち着いたところで原作というか本人の本の最後の部分を読んだけどこれもまたぐわーんと重い気分になってしまった。
この作品や本人の思いでは「四肢麻痺になり首から下を動かすことが出来ず、生きるという最大の尊厳として尊厳死を選択するべきだ」という方向なのだが、クリストファー・リーブは脊髄の損傷で四肢不随になっても決死のリハビリで体の一部を動かすという今までは考えられない奇蹟を起こしひとつの希望を見出したんだし、一口に尊厳死を認めるかというのは難しく、自らでその気持ちをどのようにどう動かすか、ということなんだろうな。とひしひしと思った。最近では植物状態の女性の尊厳死か延命処置かという問題もあったわけだし。


書いているとまた気が重くなるから他の事。
ハビエル・バルデムの顔だけの演技、その喜怒哀楽がバシバシと感じ取れるのは凄かった。あそこまですごいとは思わなかった。そして、窓から飛び出して海へ行くシーンはどうしても未来世紀ブラジルを考えてしまった。けれど、映像はものすごく良かったしこのシーンでのつなぎ目がなかったのがすごかった。
その他の風景の描写でも『父、帰る』のような綺麗なものが多くていい。
台詞のひとつひとつが教訓になるような発言が多かったのが印象的。

*1:整理券配布の時点では立ち見確定だったけど座れた